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姫巫女さまの夜伽噺
第8章 老舗蛞蝓
「っ…!」
蝓凪の抱きしめ方は、想像をはるかに超えたものだった。
身体中が柔らかく、丸め込まれるかのような抱きしめ方。
そして、手もプニプニとしていて
腕だけが生えているようなものだった。
そのなんとも言えない感触に
伊良は思わず鳥肌が立つ。
「おや、これでも姫巫女のお嬢さんも、私が怖いかね?
やはり、無理に人に化けてもしょうがないね」
蝓凪はやんわりと微笑みながら
伊良を抱きしめている腕とは別のところから腕を生やし
伊良の着物に手をかける。
「え…?」
何をされているのか理解するまでに時間がかかり
そして、何本も触手のように腕だけが胴から伸びて
伊良の着物を剥ぎ取るさまに
あっけにとられてしまった。
そうこうしているうちに、あっという間に裸にされてしまう。
「ふむ、美しい」
蝓凪は伊良をまじまじと見つめると
自分も着物を脱いで素肌で抱きしめた。
「あっ…」
蝓凪のザラザラで柔らかい素肌に包まれると
なんとも言えない気分になる。
蝓凪の皮膚は不思議で
細かく振動するかのように、ヌタヌタと動いていて
先ほど生やした触角が
伊良の背中や太ももを這うように撫でた。