この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
姫巫女さまの夜伽噺
第10章 人間の世界
起き上がって窓の外を見る。
どんよりと暗い雲の隙間から
しとしとと雨が降っていた。
鈍色の暗い雲は、気持ちをどんよりとさせる。
(私、何やってたんだろう…二ヶ月もの間…)
彼氏と呼ばれた人も分からなければ
何もかもがさっぱり分からない。
考えることさえ億劫で、体は鉛のように重たかった。
病室の時計が17時を指す頃になると
自分の体がなぜだか軽やかになり
活動準備を始めるかのようにやる気が満ちてくる。
しかし、何に対してそんなにやる気を起こそうとしているのか
自分のやるべきこととはなんなのか
さっぱりと分からないまま、頭だけが冷えていく感覚だった。
「失礼します。夕飯の時間ですよ」
「え、こんな時間に食べるんですか?」
「ええ、病院は早いので…」
てきぱきと簡易的な机を布団の上に出して
にこやかな看護師さんは夕食を並べ始める。
「いえ、まだ、これから活動するって時なのに…。
最近はいつも、朝になってから少し食べて…。
それから…あまり食べ物は…」
「大丈夫ですか?
まだ、記憶がごちゃごちゃしているんでしょうね。
あまり無理に考えず、ゆっくりと体と心を休めてくださいね」
看護師は心配そうな顔をして
彼女の手を握った。
「あんな男に騙されて、とても可哀想でしたね。
お辛かったと思います…。
みんな、あなたの味方ですから、安心なさってくださいね」
気のいい看護師は、力強く頷き
手をぎゅっと握りしめてから
部屋を去って行った。
どんよりと暗い雲の隙間から
しとしとと雨が降っていた。
鈍色の暗い雲は、気持ちをどんよりとさせる。
(私、何やってたんだろう…二ヶ月もの間…)
彼氏と呼ばれた人も分からなければ
何もかもがさっぱり分からない。
考えることさえ億劫で、体は鉛のように重たかった。
病室の時計が17時を指す頃になると
自分の体がなぜだか軽やかになり
活動準備を始めるかのようにやる気が満ちてくる。
しかし、何に対してそんなにやる気を起こそうとしているのか
自分のやるべきこととはなんなのか
さっぱりと分からないまま、頭だけが冷えていく感覚だった。
「失礼します。夕飯の時間ですよ」
「え、こんな時間に食べるんですか?」
「ええ、病院は早いので…」
てきぱきと簡易的な机を布団の上に出して
にこやかな看護師さんは夕食を並べ始める。
「いえ、まだ、これから活動するって時なのに…。
最近はいつも、朝になってから少し食べて…。
それから…あまり食べ物は…」
「大丈夫ですか?
まだ、記憶がごちゃごちゃしているんでしょうね。
あまり無理に考えず、ゆっくりと体と心を休めてくださいね」
看護師は心配そうな顔をして
彼女の手を握った。
「あんな男に騙されて、とても可哀想でしたね。
お辛かったと思います…。
みんな、あなたの味方ですから、安心なさってくださいね」
気のいい看護師は、力強く頷き
手をぎゅっと握りしめてから
部屋を去って行った。