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姫巫女さまの夜伽噺
第11章 妖の世界
穂高はやんわりと微笑む。


「あの子はとても良い子だよ。
姫巫女としても、そして、僕たちと、宿にとっても。
そして、志摩。君自身にとっても…。
そして、僕にとっても。


あの子のおかげで、何か、胸のほつれがほぐれたんだ。
人間の姿で寝るなんて、何百年ぶりというか…記憶に無い。
だけど、彼女には、それができた。
よく分からないけれど。


そして、志摩。
君が彼女を大切に思う気持ちも、痛いほどわかる。
一番にあの子をヒズミで見た時は
ああこれで宿に活気が戻ると安堵した。
だけど、志摩があまりにも人間に執着するから
麻木の時の二の舞にならないか心配になって彼女に辛く当たった。


だけど、あの子はめげなかった。
僕は、山が彼女を受け入れ、生かした理由が
何となくだけどわかる気がするんだ」


だから、僕は山の神代行として
山に必要な存在だから
彼女を迎えに行くよ。


それを聞いた志摩は心底、安心した顔をする。
穂高の許可が降りなければ
身体中を雷に撃たれようとも助けに行こうと思っていた。


「僕が行かないと、志摩は雷に焼き殺されても
彼女を迎えに行きかねないからね」


図星を突かれて、志摩の片眉がひょいと上がったが
志摩は何にも言わなかった。
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