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姫巫女さまの夜伽噺
第11章 妖の世界
月は煌々と明るく
部屋に明かりがいらなく思えるほど。
の満月をしばらくじっと見つめてから
穂高は志摩を見つめた。


「満月は、明日の午前中までだ。
それ以降は、徐々に力が戻って来るから
それこそ、僕の命が危ない」


「分かってる。
今、近江が交代で探している。
俺ももう行く。突き止めたら行ってくれ」


「分かった」


二人は立ち上がると
どんちゃん騒ぎ真っ只中の宿を抜け
洞窟へと向かった。


「こんなところに、器用に作ったもんだね。
逆に感心するよ。
今まで、志摩の結界を破ったやつなんていなかったよね」


道中、穂高はそんなことをブツブツ言いながらついてきた。


「で、こんな抜け穴作って
伊良を人間界に引き戻した人攫いに目星はついているの?」


それには志摩は答えない。


「目星付いてたら、僕が出るまでも無いか」


「もう着くぞ」


志摩の声に、穂高が正面を見ると
ぽっかりとひらけた場所に出た。


「あ、志摩様、穂高様!」


近江と美濃がやっと現れた二人を見て
ほっとした顔をする。
すぐさま志摩は詮索を交代した。


念の塊を作り出し
そこに自身の意思の末端をくっつけて飛ばす。
技術と集中力の両方がいる技だった。



「大丈夫、きっと見つかるよ」


穂高の声に、近江も美濃も頷く。
志摩の根気のいる詮索は夜中まで続き
そしてついに明け方になる。
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