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姫巫女さまの夜伽噺
第11章 妖の世界
「遅くなってすまないね。
ひどい事をされたみたいだね…」
「いいの、穂高。
絶対に来てくれると信じていたから」
散々抱き合ったあと、ふと穂高の頭越しに入り口を見れば
看護師たちがわんさか押し寄せてきていた。
「すごい美青年だって」
「綺麗すぎて興奮して鼻血出してた子いたわよ」
「芸能人かなにかかって、みんな騒いでるから見にきたんだけど」
そのなんと平和的な光景に、伊良は思わず微笑む。
「穂高、あなたが美形すぎて人間には刺激が強いみたい。
人が集まってきちゃうから、早く戻ろう」
「なんだい、刺激って。 僕は僕だよ…?」
「わからないなら、後で説明するから…」
二人が話していると
美濃がふと入り口を見つめた。
「まずい、来ちゃう」
その美濃の一言が終わるか終わらないか。
看護師の悲鳴が次々と聞こえて来た。
恐ろしくなって、伊良は穂高にしがみつく。
「きゃあ、あなたなんですか!」
「ちょっと、やめなさい!」
怒声と、悲鳴。
だんだんそれが病室に近づいて来ると
看護師たちが一斉にその悲鳴の上がる方を見て
そして驚愕するか、同じように悲鳴をあげ出す。
「二人とも、下がって」
美濃がベッドから降りると、二人の前に立つ。
看護師が投げ飛ばされるのが見えた次の瞬間。
「おいでなすったな…山の神、穂高!」
耳障りな大声をあげ
長い舌をベロベロと出しなが朽葉が現れた。