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姫巫女さまの夜伽噺
第12章 夜伽噺の終わりに
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「で、志摩に何の恨みがあるって?」
風呂と食事を終え、穂高と志摩は地下牢へと向かった。
散々逝き疲れた伊良は部屋でスヤスヤと寝ている。
その寝顔を見てから、志摩は穂高とともに
隠し扉を開けると、地下へと降りる。
そこには、散々悪さをした朽葉が幽閉されていた。
「なんだよ、よくもまた現れたな、この下郎!」
唾を吐き捨てる朽葉に
志摩は呆れかえり、穂高は少し困った顔をした。
「下郎は、君の方だよ朽葉。
伊良に、一体何の恨みがあるんだい?
関係ない彼女を巻き込んで、そして、僕や双子達まで巻き込んで。
おかげで、僕は大忙しだよ。
君が開けた穴を塞ぐのは容易いけど
その跡を修復するのに、また複雑な結界を施さなくっちゃでね…」
穂高はぐちぐちと言い始める。
それにもまた志摩は呆れた。
「おい、穂高。今はそこじゃないだろ?」
「あ、そうだった。
朽葉、君がなぜ志摩をあれほどまでに憎むのか。
それから、この黒い塊…これ、どこで手に入れた?」
それに朽葉は答えず、睨みつける。
「言えよ。俺は逃げも隠れもしない」
志摩が見つめると、朽葉は牢の格子のところまでくると
木の枠をがつんと掴んだ。
「お前が、俺の妹を殺したんだ…!」
「誰だよ、詳しく言え」
「常盤(ときわ)は…、俺の妹だ。
この宿に奉公に上がって、そして、お前のせいで気が狂って
宿を辞めさせられた挙句、道を踏み外して崖から落ちて死んだ…!」