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姫巫女さまの夜伽噺
第12章 夜伽噺の終わりに

「何だ、一体…」


志摩が訝しみ、そして穂高はふと朽葉を見つめる。
朽葉が口を大きく開けたまま固まっていた。


「朽葉!」


駆け寄ると、朽葉の瞳に生気はなく
そこで生き絶えていた。


「何だ、これ…呪詛か何かか?」


「…おそらく…」


穂高はそう言って朽葉に触れると
一瞬にして砂となり、地面に崩れ落ちる。
そして、それもまた黒い煙を上げて
じゅうじゅうと焦げて消えた。


「恨みの気持ちや、強い怨念を増幅させる何かだろうね。
あの塊を身につけたり飲み込んだりして
力を倍増させるんだろう……術者の命を削って」


穂高の言葉に、志摩は消えてなくなった朽葉のいた跡を見た。
そこには何も残らず、先ほどまで誰かがいたとは思えないほど
綺麗さっぱり、何もなかった。


「恨みが消えると、力の源も消えるわけだから
こうして体ごと消えてしまうんだろう」


「なんちゅう荒業だよ…。一体誰が…?
こんなの、理に反するんじゃないのか?」


「そうだね、術者の魂を削るのは良くない。
そして、黒幕の正体もわからない…。
けど、警戒は怠らないほうがいいね。
また、宿のみんなに何かあると、僕も本気で考えなきゃいけない」


二人は胸につかえた感情を残したまま地下牢から去った。
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