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姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去
湯殿に着くなり
浅葱色の狩衣を脱ぎ捨て
ザバザバと湯の中へと入る。


「…っ、痛い、志摩」


腫れ上がった皮膚に湯が染みる。


「我慢しろ」


痛くても体が動かない伊良を後ろから抱きしめながら
目尻に残る涙を舌で舐めとる。
首から下げた宝珠を
伊良の体に当てがって傷口を癒そうとした。


「…っ…」


体に触れると
伊良はビクリと反応して苦しそうにする。
はぁはぁと息を切らすので
志摩はおかしいと感じた。


「…愛蘭…まさか、何か体に塗られたか?」


しばらく黙っていた伊良だが
もう一度質問を繰り返すと
小さくコクリと頷いた。


「…穂高…あの野郎…」
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