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姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去
ぎり、と志摩は奥歯を噛みしめる。
強い怒りと、悲しみ。
そして、これは自分への見せしめに穂高がした事だと分かり
志摩はやるせない思いと共に
伊良のボロボロになった体を撫でた。


「…ぅっ…だめ…志摩…」


縛られた痕が残る手首を舐め
体の香油を落とすように
くまなく彼女の体に触れる。


まだ残る媚薬のせいで
触れただけで体が火照り始め
強く撫ぜられると悲鳴にも似た喘ぎを必死に堪える。


「…だめ、おかしくなっちゃ…」


「逝くなら逝け。おかしくなったら俺が叩き戻してやる…」


伊良は体の芯が疼き
思考が止まりそうになる。
そして、無意識に志摩の陰茎に手が伸びた。


「…志摩…助けて…」



(欲しくて欲しくてたまらない…っ!)



伊良は泣きながら振り返って志摩を見つめた。
志摩の黄金色の瞳が
やるせない色をたたえながら
まぶたの裏側に隠れる。
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