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愛DoLL☆美しき野獣
第10章 十章


「美咲、上手くいったかな?」


「大丈夫でしょ。」


美咲の親友らは、裏の海岸線の崖っぷちに、真琴を閉じ込めたキャリーバックを置いた。

高さ5メートルの断崖絶壁は、表の穏やかな砂浜とは違って、岩に押し寄せる波が荒れていた。


「てか、大丈夫じゃなきゃ、うちらヤバイし。」


「だよねー!!!」


「そうだ、この子、そろそろ出さなきゃ、窒息死しちゃうかな?」


「そうだね、美咲のために、殺人犯にはなりたくないもんね。」


「早く出して、あげよう。」


そう言うと、二人はキャリーバックの蓋をあけた。


「…んっ…んっ!!!」


「良かった、この子、生きてるわ。」


「タオル取ってあげるね、辛かった?ごめんね。」


真琴に巻いてたタオルをとると、真琴は、目を見開いて、二人に言った。


「…早く、逃げて。」


「えっ!何言ってるの、この子は。」


「逃げるのは、寧ろ、あんたの方でしょ?」


「…いいから、逃げて!!!」


美咲の親友二人の背後から、何かがくる。


「逃げて!!逃げて!!逃げて!!!」


こちらへ近づいてくる長い影が二つ。

月の光が、照らし出す。

傷心な真琴の瞳に映ったもの。

それは、獣が威嚇するような、牙をむいた。

怒りをあらわにした。

自分のことを、誰よりも大切にしてくれる。


「…来ちゃ…だめぇ!!!」



「真琴、真琴ー!!!!」


「今、助けるから!!!!」


(潤さんも、兄さまも、あたしのこんな姿を見たら、美咲さんたちに、何をしでかすかわからない!!!!元はと言えば、彼らから逃げ出したあたしがいけないのに!!!!)


「良かった、見つかった!!!」


「「真琴ーー!!!!」」」



真琴のことを、愛して止まない二人の姿だった。





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