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愛DoLL☆美しき野獣
第14章 十四章



次の日、ふたりは夜7時頃、東堂家を訪れた。

世田谷にある古い洋館。

少し寂びれていた風格はあるのものの、広い敷地内は、とてもきれいに整備されていた。

エドワードが乗用している車は、ジャガーのレーシングスピリット。

イギリスディーラーの、超高級車を愛用している。

普段会社へは運転手付きのリムジンで通勤している彼は、極たまにしかこの車に乗らない。

高速を200キロ近くで飛ばす、彼のびっくりするくらい荒い運転に真琴は、クタクタになってしまった。

東堂家の食卓についた今でも、身体がグラグラ揺れている気分だった。

今朝、エドワードが東堂千秋にアポイントを取ったところ、以前こちらから絶縁の申し出たはずなのに、千秋は意外にも、快く夕食に招いてくれた。


「千秋さまと当主さまは、後ほどいらっしゃいます。少々お待ち下さいませ。」


中年のメイドが、ペコリと頭を下げて部屋を出て行った。

テーブルには、きちんとシルバーやナイフが整えられ、客人をもてなす用意がされている。

真琴は、10年数年ぶりに会う父親と、初めて会う(実際には一度会っているが)兄に、緊張していた。


「ここは、懐かしい??」


エドワードは、まだ気持ち悪そうにしている真琴を気遣いながら、話しかけた。


「全然、覚えてない。」


「そっか。3歳の頃までの記憶って普通の人間には、あまり記憶にないのかもね。」


「エドワードさんは、覚えてるんですか?」


「覚えてるよ。でも、ときたま忘れたフリをする。」


「はぁ・・。」


「オレは、常に都合の良い解釈をするからね。ようはケースバイケースだ。」


「・・意味分からない。」


「真琴は分からなくていいよ、そういう黒い判断は、する必要ないから。」


「・・・はぁ。」


真琴は、ちらりとエドワードを見る。

彼は、カジュアルなスーツを着ていた。

英国紳士の容貌。

すごくスタイルが良いし、頭も良さそうだ。

自分はどういう経緯で、今この人と一緒にいるんだろうと、疑問を抱かずにはいられなかった。




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