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愛DoLL☆美しき野獣
第17章 十七章
そのときだった。
ドカッと病室のドアを誰かが蹴った。
千秋は、はっとして、振り返る。
まだ、木下潤が来るはずない。
そこには、ここに来るはずがない、思いもよらない人物が立っていた。
「ふーん、貴様も¨人形遊び¨をしてたんじゃないか?」
金髪サラサラの、長身。
その誰しも見惚れるような容姿。
蒼い瞳には、サングラスをかけていた。
「許せないな、よりによって妊婦を甚振るなんてね!!」
ツカツカ足早に、歩み寄り、響から千秋を引き剥がす。
その怪力に、千秋はガラガラガッシャーンと、壁や棚に吹っ飛んだ。
「・・・っ!!」
チッと、千秋は舌打ちする。
さっきの衝撃で、メガネが外れ、レンズが割れてしまった。
身体の痛みに、顔が歪む。
「なんであなたがこんなところにいるんですか?ジャックスホード社は、LOVE CONPANYから手を引いたんではないんですか?」
「残念だったね、千秋。ゲームオーバーだ。うちは、LOVE CONPANY創立者会長と、友好関係にあるんだ。それは重役なんかとは、比べようにもならないモノだろう?」
「チッ!!やはりあなたは、手強い敵ですね?」
「敵?オレは、アンタのこと、最初から敵だなんて思ってないよ。この虫けらが!!!」
「ふふっ。覚えて置いてください。真琴さんと僕と血が繋がっている以上、あなたは東堂は潰せない、そうでしょう?」
「うん、真琴が泣くといけないから潰さないよ・・・だから、オレなりに・・これから、じわじわと君を追い詰めてあげるよ。」
「それはゾクゾクしますね。楽しみにしています。」
千秋は、メガネを踏み潰して、痛む身体を抑え、揺ら揺らしながら、病室を出て行った。
さっきから、響は、息を呑んで二人のやりとりを見ていた。
身体の震えは治まらず、庇ってくれた彼のことをマジマジと見つめた。
彼はサングラスを取り、響の右手の甲にキスを落とす。
その優雅な振る舞いに。
不覚にも、響はドキリとしてしまう。
「・・エドワードさん・・どうして・・。」
響は、そう呟くのが、いっぱいいっぱいだった。
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