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愛DoLL☆美しき野獣
第17章 十七章
パテイオのガラス越しに、エドワードの秘書のカインがやって来るのが見えた。
「エドワードさま、そろそろお時間です。」
そう言われて、エドワードは、潤の肩にそっと触れる。
「今夜、ちゃんと話を聞くから、とりあえず響ちゃんのところへ行きなよ?今、彼女は君を必要としているから。」
「・・・ああ。」
潤は、両手で顔を覆った。
本当に辛そうだった。
エドワードは、心配そうにその場から離れた。
病室に行くと、響は、静にベットで窓を眺めていた。
潤に気がつくと、笑顔でこっちに振り向いた。
「潤さん。」
「東堂千秋がここに来たそうだな?」
「・・はい。」
「大丈夫だったか?」
「エドワードさんが助けてくれました。」
「みたいだな。」
「潤さん。」
「何だ?」
「近くに来て、顔をよく見せて下さい。」
「・・ああ。」
潤がベットのそばに行くと、響は両手を伸ばして、彼の頭を引き寄せた。
潤は、ばつが悪そうに、目を逸らす。
「どうして僕の目を見てくれないんですか?」
「いや・・俺のせいで、怖い思いさせて悪かった。東堂と木下は色々と難しい問題を抱えていて、お前を巻き込んじまった。」
「それに関しては、気にしないで欲しいです。」
「・・・・。」
「潤さん、僕のことを見てください。」
「・・・ああ。」
「ちゃんと、見て!!」
「はっ?」
響の、いきなりのタメ語に、びっくりして潤は戦く。
響は、負けずに潤の頭を引き寄せ、二人はようやく目が合った。
「僕じゃ、真琴さんの代わりには、ならないですか?」
「何言ってんだ?お前?」
「今まで怖くて聞けなかったんです。僕のことが、潤さんの重荷になっていませんか?」
「重荷??」
「僕さえいなければ、あなたは真琴さんと幸せになれたのでは、ないんですか?」
「過去は変えられねぇんだよ。俺は今しか見てねぇ。それにあいつは、俺を・・俺のことをすっかり忘れてるんだ。」
「・・えっ?どういうことですか?」
「記憶障害なんだ。お前が記憶改ざんされたみたいに、俺と出会ったことを忘れてる。」