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愛DoLL☆美しき野獣
第17章 十七章
「それは、いつか記憶が戻ると、思います。」
現に響は、元、主人であった千秋のことを思い出してしまった。
「思い出した時、あいつは、エドワードの手に堕ちている自分を見て、どう思うんだろうな・・。」
「分かりません。でも、エドワードさんなら、真琴さんを幸せにしてくれそうな気がします。」
「お前は、エドワードの本性を知らなねぇからな。」
「えっ?」
「まぁ、知らなくていいぞ、お前は。」
「・・でも、なんとなく・・分かるような気がします。」
「エドは強引で傲慢で、独占欲が強くて、どうしようもない奴だ。」
「僕も似たような人を知っています。エドワードさんは、その人より冷酷ではないだけマシですよ。」
「はっ?エドも冷酷だぞ。っていうか、お前に、知り合いなんかいたのか?」
「僕は、家族にさえ見離されているのに、おかしいですよね。」
「何言ってんだ?俺も似たようなもんだろ?親父は俺のことを人形ぐらいにしか思ってねぇ。」
「慰めてくれているんですか?」
「いや、事実を言ってる。お前は俺の¨DOLL¨だろ。」
「はい。」
「だが、今、心はある。違うか?」
「あります。苦しいくらいに、あなたが好きです。」
「俺も今は、お前のそばにいたいと思ってる。」
「えっ?」
「それに、お前のお腹には、俺の子がいる。」
「はい。」
「俺たちは、立派な家族だろ。」
「潤さん!!!」
じわ~っと、響の目に涙が浮かぶ。
「泣くんじゃねぇよ!!頭離せ!!」
「あ、はい。」
響は、パッと両手を離すと、潤は、スタスタ歩き、病室のドアノブを取った。
「また明日来る。安静にしてろ。」
「はい、潤さん、待ってます!!」
涙声で言う響に背を向けて、潤は病室を出た。
その瞬間、嗚咽を抑え切れなくて、ドンっと壁を打つ。
「俺は・・・響に何もしてやれねぇ。」
やりきれない悔しさから・・・。
つつーっと、グレーの瞳から、一筋涙が伝った。