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愛DoLL☆美しき野獣
第1章 一章
自分が生まれたはずの日本。
なぜか、全然懐かしいとは思わない。
人が多くて、ジメジメしていて、気持ち悪い。
日本へ帰ってきたら、自分は家族と暮らせて、普通に学校に通えるものだと思っていた。
けれど、ボディーガードの人たちに連れて来られたのは、白金にある超高級マンションだった。
彼らは車から降りると、マンションの厳重なセキュリティーを解いて、エレベーターで真琴を最上階へ連れて行った。
(このワンフロア全部を買い取ったセレブな人物こそ、これからあたしのご主人さまになる人だ。
)
体の悪い政略結婚・・・。
上流階級の人は、やたらと変な性癖の持ち主が多いと真琴はジゼルから聞いた。
その為か、自然の成り行きでその性癖を克服して子孫をこの世に残したいと願う親や親族が集まり、世界の裏社会のセレブの間で、この¨LOVE CONANY(財)¨は設立されたのだと言う。
確かに理由はどうであれ、もともと上流階級の¨人形¨に、上流階級の子供が出来れば、名誉や金も子孫も手に入り、親族にとっては、万万歳だ。
LOVE CONPANY(財)の¨人形¨には、いろいろな育成指導があって、中には記憶を操作されたり、ご主人様に従順になるよう、調教される子もいるらしい。
真琴は幸い、将来の真琴のご主人様仕様に脳内洗脳されているが、あとは孤島で男の子みたいに育てられただけで、特にそういうことはされていない。
しかし、これからの一年間の契約で更新されることなく。
ご主人様が自分を気に入らなければ、¨人形¨としてのランクが下げられ、肉体改造、精神操作をさせられ、人としての扱いは一切されなくなる。
ようは、どんどん自分が自分でなくなるということだ。
そんな末恐ろしいLOVE CONPANY(財)のシステムに身も凍る思いを抱く・・。
逃げても、逃げても、追い回され、挙句の果て、暗殺されてしまうのだ・・。
でも不思議と真琴は、両親を憎むことはなかった・・。
自分ひとりの犠牲で、何万人ものリストラ者を出さずにすんだのだから。
初めはこんな自分の運命を呪ったが、日本に着き、もう仕方のないことと、諦めるしかなかった。