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愛DoLL☆美しき野獣
第1章 一章
エレベーターホールの高級そうな柱時計を見ると、夜の12時を回っていた。
頑丈な造りの壁は、下の階のフロアーまで声ひとつ響くことがなさそうだった。
きっと、この扉の向こうには自由などありはしない。
そう、思い始めたら、足が震える。
「教えて、あたしのご主人さまは一体どんな人?」
真琴は隣にいるボディーガードに聞いた。
すると彼はニヤリと笑う。
「すぐに知ることだ。今知ってどうする?」
「何事にも覚悟が必要だろ?」
「ふん(笑)まぁ、俺が言えることは、とにかくご主人様に気に入られることだな。」
「そんなことは、島を出るときにジゼルから聞いたよ!!」
「一年後、ご主人さまに契約更新してもらえばいいんだ。」
「ねぇ?契約更新してもらえば、あとは自由ってこと?彼とは結婚しなくていいの?」
「さあ、それはしらねぇが、そうじゃねぇのか。」
「わかった。ようは、ご主人さまを口説き落とせばいいの?」
「ああ、だが残念ながら、ここにいる¨やつら¨は、そう上手くはいかねぇよ。」
「やつら?」
その時、突然、玄関の扉があいた。
見上げると、そこには冷めた目をした綺麗な女の子が立っていた。
年は真琴と同じくらいか、でもその姿は、なぜか人間味に欠けている。
そう、まるで人形のように・・。
「ふっ(笑)これが未来のお前の姿にならないよう、祈ってるぜ。」
「どういうこと?」
「ここのやつらは、この¨人形¨を好き勝手にしたあげく、あっけなく一年で解約した冷血感極まりない輩だ。」
その言葉に、真琴はゴクリとつばを飲み込む。
よく見るとその子の首筋や手首にはたくさん痣が出来ていて、今までここのご主人様に何をされてきたか、一目瞭然だった。
「この¨人形¨は、お払い箱さ。」
「そんな、ひどい!!女の子にこんなことするなんて!!」
「はぁ?待てよ、この¨人形¨中身は、男だぜ?」
「えっ?」
それを聞いて、頭が真っ白になった。
「ああやべぇ、しゃべりすぎた。じゃあ、俺はそろそろ行くぜ。ま、あんたの幸運を祈ってる!」
ボディーガードはそれだけ言うと、解約された¨人形¨を連れて去って行ってしまった。