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愛DoLL☆美しき野獣
第17章 十七章


タクシーがマンションに到着すると、潤は千秋に待ち伏せされていないか、警戒した。


「どうしたんですか?そんなにキョロキョロして?」


運転手にお金を払い終えた真琴が、潤に、不思議そうに聞いた。


「いや、ホモ野郎が待ち伏せしてないかどうかを見てる。」


「はぁ?何言ってんの?この人は。ププププッ。」


真琴は可笑しそうに潤の手を引っ張る。


「ホラ、ささっと行きますよ?潤さん安心して!ホモ野郎なんて、きっとこの世には、いませんから!!」


(ホモはお前の兄貴だ!!!あれ、もしかして、俺やエドもそうか・・・?いや、違う、断じて俺らは、違うぞ!!!)

潤は、心の中でつっこみを入れるが、真琴には言えない。

そんな彼をじーっと見つめ、真琴は真剣な顔になる。


「あれ、なんか顔色が悪いですね?早く部屋で手当てをしましょう!!」


「おい、手ぇ引っ張るな!!いてぇ!!」


マンションに入る最中も、潤は警戒したが、千秋はいなかった。

(これからは俺も護衛を付けるか。たく、めんどくせぇ。)

最上階のエントラスホールに出ると、真琴の足が止まった。

彼女に握られている右手に力が入り、潤は、はっとする。


「ここ・・・。」


「な、なんだ?」


(まさか・・・少しでも、思い出したのか?)


「すごく、綺麗なマンションですね?」


「はぁぁ?」


「ワンフロアー。潤さんの家なんですか?お金持ちなんですね?」


「ああ?お前んとこ、ほどじゃねぇよ。」


「ジャックスホードと比べたら、日本の企業なんて、ちっちゃいですからね。」


「悪かったな。ちっちゃくて。」


(今ここでこいつが思い出したら、何かとめんどくせぇな。)


「ここでいいぞ。お前は家に帰れ。」


「は?」


「俺には妻子がいるからな。ひとつ屋根の下で、女子高生と、何かあったら困る。」


「女子高生って・・・潤さんはあたしの元彼でしょ?」


「だから、余計にまずいだろ。」


「奥さん、今、家にいないんですか?」


「入院中だ。」


「ええ!!大丈夫なんですか?」


「・・・・。」


潤は、黙ってしまった。
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