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愛DoLL☆美しき野獣
第30章 宣戦布告


潤と二人きりになった瞬間、静は、張り詰めた空気を破るかの如く、涙を流し始めた。

始めは、純粋に真琴に会いたいと日本にやってきたが、本当の静の本心は?


「潤…」


「…なんだ?」


「…随分と、雰囲気が変わったわね…?」


「ああ、不幸が重なったからか」


「不幸?貴方には、子供がいると聞いたけど?奥さまは?」


「樹を生んで、すぐに亡くなった」


「…そうだったの…潤は、奥さまを愛してた?」


「…響は、親父が送りつけたDoll だった。俺の元に派遣されたときには、人工的に俺の精子を植え付けられ、妊娠していた。だから、あいつのことは、愛とかそういうのとは、全く次元の違う想いだった」


「…そんなことって…!?」


「あるんだ。肉体改造された響は、妊娠出産する体力が残ってなかった…俺はあいつに、なにもしてやれなかった。あの頃のお前の時みたいに…」


「…潤…」


「泣くな、俺はお前に何もしてやれないし、寧ろ、詫びなきゃならねぇ…」


「…いい、その先は、言わないで…」


「そうはいかない」


「…だめ、涙が止まらなくなるわ」


「…静」


「…いやよ…うっ」


静の嗚咽を遮るように、潤は、静に深々と頭を下げた。


「すまなかった」


それを聞いた静は、更に涙が止まらなくなった。


「あの頃の俺は、まだ何にも知らないガキだった。本当にお前のことが好き過ぎて、暴力を止めることが出来なかった。裏切られたと思ってたんだ」


「…潤…わかっていたわ」


「…静?」


「分かっていたのに、許せなかったの」


「なら、許せないなら、それでも、構わない」


「違うの…建て前や、体裁もなく、今の自分に何も繕わなくてもいいのなら…わたしは、今でも貴方のことが、好きなのかもしれない…」


「…!?」


それを、聞いた潤は、言葉を失った。


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