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愛DoLL☆美しき野獣
第31章 鳴り響く教会の鐘

カーン、カーン、午後の巡礼の鐘が鳴り響く。
ここは神奈川県大和市にある聖カトリック教会である。
仕事に出掛けると言っていた静は、白い手袋に、礼服姿で、ここで祈りを捧げている。
信者たちは、みな、そのような出で立ちだった。
淡い蝋燭で讃えられた教壇に、信者たちの讃美歌が響き渡る。
数時間後、巡礼が終わっても、彼女は、その場から離れようとはしなかった。
大祭司である、大川牧師は、静の傍に、そっと近寄った。
「…静さん、何か真剣に悩まれているのかね?」
「…教祖さま…」
「良かったら懺悔室、行くかね?」
「…はい、お願いします」
顔をしわくちゃにさせながら、笑う大川牧師は、新興カトリック宗教団体の長だった。
静は、その宗教の熱狂的な信者だった。
「君の為なら、出来ることは、してあげよう」
「…ああ、ありがとうございます」
静は、涙を流しながら、彼に真琴の悩みを打ち明けた。
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