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愛DoLL☆美しき野獣
第32章 解けない魔法



その週は、白金のマンションには帰らずに、ロンドンから帰国した樹と共に、エドワードは、港の見える丘公園付近にある邸宅で過ごした。

それは、乱暴に凌辱してしまった真琴と、合わせる顔が無かったから。



「…おかえり、パパァ!!」



「ただいま、樹」


「あのねぇ…」


「ん?どうした?」


「…ぼくね、早くかぁちゃまに会いたいなぁ…」


樹は、昼間はメアリーが面倒をみている状態だ。

真琴の事が恋しくて、エドが仕事から帰宅すると、そうやって足元にすがってくる。

本当に血が繋がらなくとも、潤の子供だと思えば、樹は、愛しくてたまらない存在だった。

彼は潤と同様に、自分の事を本当の父親のように、接してくれる。

子供は、可愛い。

無条件に、癒される。

そう思えば思うほど、自分も早く、真琴との、子供が欲しい。

彼がそう願ってしまうのは、当たり前の事だった。


(そうだな…生まれて来るのは、女の子がいいかな。そうすれば、将来、樹と自分の子が結ばれる日が来るかもしれない…)



その前に、片付けておかなきゃならない問題がある。


エドワードは、カインから貰った最終報告書を、握りしめていた。


「…樹、もうすぐだから、いい子にして、待ってて?」


「…はい、パパァ」


ぱぁっと、明るく笑う樹の事を抱き寄せる。

そして、強い決意を彼に打ち明ける。


「すぐに元の生活に戻すから!!」


手に握りしめた、報告書を睨み付けながら…薄く微笑んだ。


◆最終報告書◆

聖カトリック教会

経営状況…不景気で、信者が増えず悪化

[備考欄…大川牧師は世界でも指折り数えるほどの、催眠術師である]



そう、記されていた。


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