この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛DoLL☆美しき野獣
第32章 解けない魔法

その週は、白金のマンションには帰らずに、ロンドンから帰国した樹と共に、エドワードは、港の見える丘公園付近にある邸宅で過ごした。
それは、乱暴に凌辱してしまった真琴と、合わせる顔が無かったから。
「…おかえり、パパァ!!」
「ただいま、樹」
「あのねぇ…」
「ん?どうした?」
「…ぼくね、早くかぁちゃまに会いたいなぁ…」
樹は、昼間はメアリーが面倒をみている状態だ。
真琴の事が恋しくて、エドが仕事から帰宅すると、そうやって足元にすがってくる。
本当に血が繋がらなくとも、潤の子供だと思えば、樹は、愛しくてたまらない存在だった。
彼は潤と同様に、自分の事を本当の父親のように、接してくれる。
子供は、可愛い。
無条件に、癒される。
そう思えば思うほど、自分も早く、真琴との、子供が欲しい。
彼がそう願ってしまうのは、当たり前の事だった。
(そうだな…生まれて来るのは、女の子がいいかな。そうすれば、将来、樹と自分の子が結ばれる日が来るかもしれない…)
その前に、片付けておかなきゃならない問題がある。
エドワードは、カインから貰った最終報告書を、握りしめていた。
「…樹、もうすぐだから、いい子にして、待ってて?」
「…はい、パパァ」
ぱぁっと、明るく笑う樹の事を抱き寄せる。
そして、強い決意を彼に打ち明ける。
「すぐに元の生活に戻すから!!」
手に握りしめた、報告書を睨み付けながら…薄く微笑んだ。
◆最終報告書◆
聖カトリック教会
経営状況…不景気で、信者が増えず悪化
[備考欄…大川牧師は世界でも指折り数えるほどの、催眠術師である]
そう、記されていた。
.

