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愛DoLL☆美しき野獣
第33章 姉への想い

(…そんな…それじゃあ、あんまりだ。神父さまとの契約を知って、そのあと、更に傷ついたお姉ちゃんは、どうなるの??)
「言ったろ、オレが、真琴の体を元に戻してあげるって?」
ニコっと、自分に微笑むエドが、何故か本物の悪魔に見えた。
(エドさん、あなたのやり方は間違ってるよ!!!てか、あの神父が一番、憎い!!お金に釣られてコロっと、態度を変えて!!!!)
真琴は、体に絡み付く潤とエドの腕を勢い良く、振り払った。
「もう、いい!!!!!!!!」
「「真琴!?」」
「「あたしは、元に戻らなくていい!!!!お願いだから、暫く、そっと、しておいて!!!!」」
突然、大声を張り上げて、静の元へ抱きついた真琴に、一同、唖然とする。
蝋燭が激しく揺れ、そのまま、静の手から地面に滑り落ち、火が絨毯に移り、激しく燃え上がった。
「ああああ、わしの教会が、火事になってしまう。早く火を消してくれ!!」
ボオオオォ―っと、
あっという間に、火は燃え広がり、辺りは騒然となる。
「真琴、早くこっちへこい!!!潤、早く消防車、呼んで?」
「ゲホゲホ、ああ!!!真琴は、大丈夫か?真琴、こっちに来い!!!!」
(ごめん、潤さん、エドさん…この場から去るなら、今しかない!!!)
真琴は、自分から早く引き剥がそうと暴れ出す静に、精一杯の想いを、囁く。
"行こう、お姉ちゃん、あなたを誰も苦しめない世界へ"
「…えっ…?」
"あたしは、全然恨んでなんかないから。大丈夫、あたしたちは、まだやり直せるよ……?"
「…真琴は、私を許せるの?」
"当たり前だ"
「嘘よ…」
"嘘じゃない、あなたは、あたしのたった一人の肉親じゃないか!!!"
「…真琴は、甘いわね…」
"それでもいいから!!"
「つくづく、バカな子ね…」
真琴は、力を緩めた静の手を引き、教壇の奥の小さな扉へ走り出した。
「「待て、静と行くな、真琴―っ!!!」」
背後にかかる、二人の悲痛な叫び声を振り切りながら…。
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