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愛DoLL☆美しき野獣
第33章 姉への想い

ハァハァハァハァ、二人の息があがる。
小さな扉の向こうには、長い渡り廊下があり、宿舎らしき建物を抜けて、教会を飛び出した。
教会からは、煙がモクモクとあがり、火は、建物を侵食し始めている。
遠くでウゥ~ウゥ~っと、サイレンの音が響き出した。
誰が通報したのかは、分からないが…
(大丈夫、あの二人なら、今ごろ神父さまを連れて、うまく逃げ出しているよね…)
「教祖さまは、ご無事かしら…」
さも心配そうにする静に、真琴は、容赦なく、きつい言葉を突きつける。
「あの神父に媚びを売るのは気が進まない。自分の私益のために簡単に特殊能力をお金と引き換えに、するようなやつ、最低だ!!」
「何を言うの?何も知らないくせに!!」
「何も知らないからこそ、分かる事だって、あるんだよ!!いくら気が弱ってるからって信心的な悪宗教に、飲み込まれるな!!」
「…っ…ふん、偉そうに」
「お姉ちゃんの苦しみは、あたしが受け止める!!!だから、あの神父とは、手を切るんだ、分かった?」
「…なによ、生意気なことを!!第一真琴は、私を連れてあの二人から、逃げ切れるのかしら?特にエドワ―ド氏は、すごくしつこいわよ?きっと」
「そんなのは、分かってるよ!!!」
「なら、どうするのよ?」
「大丈夫、あたしはエドさんよりも権力を持ってる人を知ってるから」
「えっ…?」
「あ、やばい。携帯も財布ないや、悪いけどお金、貸して?」
真琴の自分の持ち物は全て置いてきてしまった。
静は、ため息をつき、呆れるが…先程の修羅場の事も何も気にせずに、前と変わらずに自分に接する真琴の態度を見て、徐々に心に落ち着きを取り戻してきた。
(…なんか、バカらしくなってきたわ、この子のバカバカらしさは、一生治らない気がする…)
「…あ―全く、仕方が無い子ね」
「ありがとう、お姉ちゃん」
真琴は、公衆電話を探して、国際電話をかける。
RRRRRRRR ガチャ
『Hello? 』
『あ、お父様、真琴です。』
そう義理の父親である、エドワ―ドの実父、ジャックスホ―ド家の現当主フデレリック氏に…。
『おお~娘よ、どうした?』
『実は、折り入って、お願いがあるんですが…』
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