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愛DoLL☆美しき野獣
第35章 幽閉されたお姫様と嘘つき女王

「お疲れさまです!」
古城に着くと、エリザベ―トは、橋の手前で、潤に車から下りるように促した。
「どうぞ、足元にお気をつけになって、下さい!!」
潤がドアを開けたとたん、体ごと持っていかれそうになる。
「……ちっ!!!」
外はすごい風が吹き荒れていた。
城を取り囲む湖が波立っている。
「きっと今夜は、ひどく荒れますね」
潤に、意味ありげにそう言うと、彼女は、車を発車させ、城外にある車庫へと消えて行った。
「…あの女、只の使用人じゃねぇな」
車内に漂う高価な香水の匂いは、ごまかせなかった。
(普通、使用人が、香水の匂いをプンプンさせたりしないだろ…?にしても、すごい風だな!!)
ヨロヨロしながらも、橋を渡りきり、城の門を開いた。
ギィィっと、音を立てて開くと、直ぐに使用人が来て、奥からカインが慌てて、出てきた。
「木下さま、お一人でいらしたんですか?」
「いや、女が…」
「…女?空港でわたしが手配した車には、お乗りにならなかったようなので、とても心配しました」
「………」
潤の考えは、確信にかわる。
(ふん、あの女は、只の使用人じゃねぇに、確定したな…)
「その女性の方とは?」
「さあな、知らねぇな!!!」
「それは…困りましたね…」
カインは、心底困り果てた顔をしたが、潤は、気にも止めなかった。
「それより、真琴は、どこにいる?」
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