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愛DoLL☆美しき野獣
第5章 五章


エドワードがこの屋敷に着いた頃には、もう朝日が昇り始めていた。

高台に建てられているこの洋館は、バルコニーからベイブリッジが良く見える。

彼は幼い日のことを思い出していた。




シエルと過ごした日々は、ひどく幸せだった。

愛する者の"死"というものを知らずに、ただひたすら毎日を過ごしていれば良かったから。

シエルが老衰で亡くなった。
初めて身近な者の"死"を体験した。

オレが大暴れしたあの夜。

苦しくて、切なくて、もう二度と、こんな想いは、したくないと思った。

もう、誰も何者も愛さないと誓った。

でも今なら、はっきりと分かる。

オレはただ愛することに臆病になっていただけだった。

ジャックスホード家の嫡男として生まれたオレは、"強さ"だけを求められてきたから。

怪力は、うまれつき、この性格もうまれつき。

キレると何をするか分からない。

性的興奮すると、尚更手がつけられない。
自分の中の"何か"が暴れ出してしまう。

女性は弱き者だと、教えられたから、今まで絶対に手を出さなかった。

オレは女性を抱けなかったんじゃなくて、あえて抱かなかっただけだ。

弱くて、脆い女性を、この手で壊したくなかった。

そんなオレのことを、父親は、強く育てすぎたと、嘆いていた。

強くなんかないのに。

本当はこんなにも愛に臆病な人間なのに・・・。

自分は決して強い人間じゃないって、事を思い知らされた。


…でも、今となっては。

それも、悪くないと思えるようになった。

真琴と出会って。

人を愛する事で、強くなれることだって、ある。

そう、信じてみたいと、初めて思えたから。

…ねぇ、真琴?

たとえ、それがひどく歪んだ感情でも…構わないと思うんだ…。


オレの気持ちは、止められない。

君が、好きだ…。

君が、潤の事を想っていても、構わないから。

そばにいて?

オレは、どんな形になったとしても。

君と一緒に生きていきたいんだよ…。










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