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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第18章 彩夏の気持ち
「感じた事のある気に誘われてみれば……娘、またおまえだとは思わなかったぞ」
独特の喋り方に聞き覚えがあるけど、誰だっけ……彩夏は記憶を手繰るように思いを巡らせた。
漸く思い当たるとポカンと開いた口を閉じて、眦をキュッと釣り上げた。
「――あ!?あなた、私を強姦した……えーと……変態幽霊ね!?」
「なんじゃその、変態幽霊とは?けったいな趣味《センス》じゃなぁ」
彩夏は思った。
あんたには言われたくないし、他に呼べる名前がないじゃないと。
「だったら名乗りなさいよ」
「ふん、良かろう。俺の名は、天て……」
「あまて……?何で黙るのよ、早く教えなさいよ。笑ってあげるから」
「ふん……矢張り良い。真名志《まなし》と呼ぶが良いわ」
「何なのよ……」
笑うと言ったから、真名志と名乗る仮定幽霊はヘソでも曲げたのだろうか。
しかし彩夏は、まぁいいやと思った。こっちだって腸が煮え返るくらい怒ってるのだ。
真吾の中からまた、こんな……これでは、もう疑う余地もない。似たようなシチュエーションで、同じような事を彼がした時に、また現れたとあっては……信じる意外ないではないか。
「まぁ良い、時が惜しいわ。おまえに言伝を頼みたい――」
彩夏の怒りに対して、真名志はどこ吹く風だ。
真吾に襲った非が無くても、この身体の持ち主が彼であっても、今現在動かしているのは真名志。これは正統な怒りの行動だから、きっと許してくれるわよね――彩夏は真名志の胸倉を掴むと、憤怒の形相でグラグラと揺すった。
「何が言伝よ!あの時の恨みは忘れてないんだから!」
「鬱陶しい女じゃなァ。おまえだって悦んどった癖に……」
「な――何ですって!?そんな訳ないでしょ、この変態!強姦魔!」
ギリギリと胸倉を締めつける彩夏の手を、真名志は軽くあしらい一喝した。
「ったく……煩いわ娘!時が惜しいと申したであろう!!」
腹に響くような怒号に彩夏はビクッと飛び跳ねると、悔しい事に思わず怒りも忘れてしまった。
まるで神経を愛撫するようなソフトな話し声の真吾と、猛々しい山のような真名志の傲慢な話し方では、あまりに違い過ぎる。
真吾が静なら、将に真名志は動――まるで対極だ。
彩夏の脳裏に、さっき真吾から聞いた陰陽対極が浮かぶ。
独特の喋り方に聞き覚えがあるけど、誰だっけ……彩夏は記憶を手繰るように思いを巡らせた。
漸く思い当たるとポカンと開いた口を閉じて、眦をキュッと釣り上げた。
「――あ!?あなた、私を強姦した……えーと……変態幽霊ね!?」
「なんじゃその、変態幽霊とは?けったいな趣味《センス》じゃなぁ」
彩夏は思った。
あんたには言われたくないし、他に呼べる名前がないじゃないと。
「だったら名乗りなさいよ」
「ふん、良かろう。俺の名は、天て……」
「あまて……?何で黙るのよ、早く教えなさいよ。笑ってあげるから」
「ふん……矢張り良い。真名志《まなし》と呼ぶが良いわ」
「何なのよ……」
笑うと言ったから、真名志と名乗る仮定幽霊はヘソでも曲げたのだろうか。
しかし彩夏は、まぁいいやと思った。こっちだって腸が煮え返るくらい怒ってるのだ。
真吾の中からまた、こんな……これでは、もう疑う余地もない。似たようなシチュエーションで、同じような事を彼がした時に、また現れたとあっては……信じる意外ないではないか。
「まぁ良い、時が惜しいわ。おまえに言伝を頼みたい――」
彩夏の怒りに対して、真名志はどこ吹く風だ。
真吾に襲った非が無くても、この身体の持ち主が彼であっても、今現在動かしているのは真名志。これは正統な怒りの行動だから、きっと許してくれるわよね――彩夏は真名志の胸倉を掴むと、憤怒の形相でグラグラと揺すった。
「何が言伝よ!あの時の恨みは忘れてないんだから!」
「鬱陶しい女じゃなァ。おまえだって悦んどった癖に……」
「な――何ですって!?そんな訳ないでしょ、この変態!強姦魔!」
ギリギリと胸倉を締めつける彩夏の手を、真名志は軽くあしらい一喝した。
「ったく……煩いわ娘!時が惜しいと申したであろう!!」
腹に響くような怒号に彩夏はビクッと飛び跳ねると、悔しい事に思わず怒りも忘れてしまった。
まるで神経を愛撫するようなソフトな話し声の真吾と、猛々しい山のような真名志の傲慢な話し方では、あまりに違い過ぎる。
真吾が静なら、将に真名志は動――まるで対極だ。
彩夏の脳裏に、さっき真吾から聞いた陰陽対極が浮かぶ。