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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第20章 彼女の前髪が長い理由
窺うように、美奈がこちらを僅かに見上げた。
さらりと流れた前髪が、瞼の上を軽やかに滑っていく――その瞬間、隠れていた美奈の目が片方だけ露となった。
その刹那、はじめて美奈と目が合あった。
ドキリと心臓が大きく跳ねたと思うと、真吾は息を呑んだ。
綺麗だ……。
彼女の目の第一印象は本当にその一言に尽きた。他には何も浮かばない程に美しい、吸い込まれてしまいそうなくらいに綺麗な瞳。
漆黒の黒曜石に星を散りばめたような彼女の瞳は見惚れる程に美しく、蛍のように儚なげに揺れる光は、神秘的な雰囲気が漂っていた。
思わず言葉を失い、放心したように真吾は美奈の瞳を見つめた。
美奈はボッと顔から火が噴いたかと思うと、真吾の視線から逃れるように俯いてしまった。
残念……見えなくなった事を、真吾は心底残念に思った。
もっと見つめていたかったな……などという気持ちが芽生えると、彼女の顔を見てみたいという欲求に駆られた。
あんなに綺麗な目を美奈はどうして隠しているのだろうか。
真吾はそれが不思議で、喉に引っかかった小骨みたいに気になった。
◆◇◆
午後6時を30分は回ってしまった為に辺りは既に暗く、空には綺麗に星が瞬いていた。
目の前に広がる森林は鬱蒼と暗く、歩道に等間隔で設置された街灯の光も頼りなげに思えた。昼は違うのだろうが、暗くなると本当に寥々とした雰囲気のこの森林公園。街の郊外だからなのかもしれないが、それでも人気があまりに少ない。
美奈は、いつも寂々寥々とした道を帰宅しているのだろうか。
「はあ、はあ――流石に……疲れた……」
そこそこ大きな池に、張り出すように設置された休憩用の東屋。東屋にあるベンチ――15人近く座れそうな座卓のような大きさ――にドサッと腰掛けると、真吾はそのまま寝転んでしまった。
結構な距離を歩いて来たので、もうクタクタだった。
公園に差し掛かったところで美奈が倒れて、美奈はそのまま気を失ってしまった。その美奈を抱いて、真吾は東屋まで連れて来た。
美奈の家は知らないし、このまま放置もできない――それ以上に、真吾は美奈を堕児憑きから救わなくてはならない。例え知っていたとしても、家には連れて帰れなかった。
さらりと流れた前髪が、瞼の上を軽やかに滑っていく――その瞬間、隠れていた美奈の目が片方だけ露となった。
その刹那、はじめて美奈と目が合あった。
ドキリと心臓が大きく跳ねたと思うと、真吾は息を呑んだ。
綺麗だ……。
彼女の目の第一印象は本当にその一言に尽きた。他には何も浮かばない程に美しい、吸い込まれてしまいそうなくらいに綺麗な瞳。
漆黒の黒曜石に星を散りばめたような彼女の瞳は見惚れる程に美しく、蛍のように儚なげに揺れる光は、神秘的な雰囲気が漂っていた。
思わず言葉を失い、放心したように真吾は美奈の瞳を見つめた。
美奈はボッと顔から火が噴いたかと思うと、真吾の視線から逃れるように俯いてしまった。
残念……見えなくなった事を、真吾は心底残念に思った。
もっと見つめていたかったな……などという気持ちが芽生えると、彼女の顔を見てみたいという欲求に駆られた。
あんなに綺麗な目を美奈はどうして隠しているのだろうか。
真吾はそれが不思議で、喉に引っかかった小骨みたいに気になった。
◆◇◆
午後6時を30分は回ってしまった為に辺りは既に暗く、空には綺麗に星が瞬いていた。
目の前に広がる森林は鬱蒼と暗く、歩道に等間隔で設置された街灯の光も頼りなげに思えた。昼は違うのだろうが、暗くなると本当に寥々とした雰囲気のこの森林公園。街の郊外だからなのかもしれないが、それでも人気があまりに少ない。
美奈は、いつも寂々寥々とした道を帰宅しているのだろうか。
「はあ、はあ――流石に……疲れた……」
そこそこ大きな池に、張り出すように設置された休憩用の東屋。東屋にあるベンチ――15人近く座れそうな座卓のような大きさ――にドサッと腰掛けると、真吾はそのまま寝転んでしまった。
結構な距離を歩いて来たので、もうクタクタだった。
公園に差し掛かったところで美奈が倒れて、美奈はそのまま気を失ってしまった。その美奈を抱いて、真吾は東屋まで連れて来た。
美奈の家は知らないし、このまま放置もできない――それ以上に、真吾は美奈を堕児憑きから救わなくてはならない。例え知っていたとしても、家には連れて帰れなかった。