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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第20章 彼女の前髪が長い理由
 彼女の髪を梳いた指を、そのまま顔のラインに沿って、ツツ――と這わせると、ピクリという反応を返す美奈。
 意識がなくても感じるものなのか……?
 頬まで下ろしてきた指を、顎から首筋にかけて這わしていく。
 美奈はピクリとしながら――、

「あっ……あんっ」

 唇から艶のある声を零した。
 話した時の消え入りそうな声とは全く違う、実際の彼女の声――美奈の悦楽の声は、まるで夜に漂う金木犀の芳香のようだった。可愛く可憐で……脳を痺れさせるような、蠱惑的な甘い音色。
 気がついたらペニスはガチガチに勃起し、ズボンの中で強く反り返っていた。
 この程度の反応で、こんなになってしまうなんて。驚くほど過敏なマイジュニアに、真吾は少し恥ずかしい気分になった。
 違う……そうじゃないと、真吾は気づいた。
 電車の中でも美奈を意識し、既に勃起してた。
 美奈の素の魅力に、強い劣情を感じていたではないか……。

 サワサワサワ……。

 木々がそよ風に撫でられて、葉ずれの音を奏でる。
 星が降るように輝く夜空の下――眼下で力なく横たわるクラスメイト。今日以外に話した事も殆どない彼女の細い身体を、ボーっと真吾は眺めた。
 大きく上下を繰り返す、肌蹴た胸のなだらかな脹らみ。薄白い街灯の灯りに浮かび上がる、白さが艶めかしい細い太腿。文化部らしく生白い肌には、発情による発汗が玉となり弾けるように浮かび上がって――真吾の目に嫌にエロティックに映る。
 薄明かりに浮き出た彼女の肢体を、様態を気遣う目から――いつしか舐め回すような、いやらしい眼差しで真吾は眺めていた。
 本当は、意識を戻してからと考えていた。
 美奈に意識がなければ口説けないし、自我の有無についても気にはなった。
 しかし芽生えた劣情は、心を無視して加速度的にどんどん脹らむ。
 意識のない彼女を犯して本当に良いのか、罪悪感が抉るように心を苛む。今更それを躊躇した所で、堕児が寄生している以上は犯さなくてはならない。意識を取り戻した美奈が拒めば、どとの詰まり結果は同じ――襲うしかないのだから。
 彼女を抱きたいと思う気持ちは、自分自身にもどうにもならない。
 真吾は躊躇いに震える指先を、美奈のワイシャツに掛けた。

「犯しちゃうけど、ごめんね。助ける為だし……不可抗力、だよね?」
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