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身代わりの夜
第9章 盗み聞きオフィス
(ああ、どうしてこんなことになったんだろう)
今日中に何とか企画書を仕上げるべく、啓太は一人残業していた。
やっと終わり、梨華とのデートに間に合うよう、急いで退出しようしたのがいけなかったのだろう。
部屋の照明を消して鍵を取り出した拍子に、一緒にポケットに入れていた小銭をばらまいてしまったのだ。
暗闇の中で床に膝をついて集めていると、突然、オフィスのドアが開いた。
「まったく。来週早々に必要な書類、忘れちゃうんだから」
「すみません。今日の打ち合わせで頭がいっぱいになってて」
声で、入ってきたのが亜沙子と山野辺だとわかる。
啓太はデスクの下に転がり込んだ十円玉を、四つん這いになって拾っているところだった。
二人の足音が近づいてくるのに、啓太は息を呑んで固まる。
ちょうど向かいが山野辺の席だということに気づいた。
どうして、すぐに姿を見せなかったのか、自分でも理解できなかった。
今日中に何とか企画書を仕上げるべく、啓太は一人残業していた。
やっと終わり、梨華とのデートに間に合うよう、急いで退出しようしたのがいけなかったのだろう。
部屋の照明を消して鍵を取り出した拍子に、一緒にポケットに入れていた小銭をばらまいてしまったのだ。
暗闇の中で床に膝をついて集めていると、突然、オフィスのドアが開いた。
「まったく。来週早々に必要な書類、忘れちゃうんだから」
「すみません。今日の打ち合わせで頭がいっぱいになってて」
声で、入ってきたのが亜沙子と山野辺だとわかる。
啓太はデスクの下に転がり込んだ十円玉を、四つん這いになって拾っているところだった。
二人の足音が近づいてくるのに、啓太は息を呑んで固まる。
ちょうど向かいが山野辺の席だということに気づいた。
どうして、すぐに姿を見せなかったのか、自分でも理解できなかった。