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身代わりの夜
第10章 純情エッチ代行人
 うっすらと汗をかいているのか、天井の照明に、白い胸肌が妖しく絖光っている。
 眼を凝らせば、薄い皮膚の下に静脈の青い筋が透けて見えそうだった。

 職場であられもない姿態をさらす上司に、何と声をかければいいのだろう。

 今、目の前にいる男が山野辺ではないと知ったら、いたたまれない思いをするに違いない。
 亜沙子に恥をかかさずにすむ方法を探って、啓太は思い悩んだ。

(ええい、なるようになれだ)

 剥き出しの肩を揺すろうとした。

 ちょうどタイミングを合わせたみたいに、亜沙子が身体をひねった。
 指先が頬に触れる。

 びくっ、と亜沙子が上半身を慄かせた。

 あわてて手を離そうとした啓太は、しかし、女の頬のすべすべした柔らかさに固まった。
 思わず、顎の線にそって指を動かしてしまう。

 亜沙子はくすぐったそうに、

「やだ……な、なに……」

 唇をはにかんだ笑みの形にしたまま、戸惑っている。

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