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身代わりの夜
第12章 ふとどき社内エッチ
 梨華は仕事上の笑みを浮かべて、

「佐藤専務が今度のキャンペーン計画、褒めていらっしゃいました」

「本当? あの計画、スタッフがまとめてくれたのよ。
 古森くん、専務が褒めてくれたって」

「そ、そうですか。よかったです」

 啓太は亜沙子と梨華の間で視線をさまよわせ、落ち着かなげに頭を下げた。
 それから、あわててパソコンに向かう。

 その態度に、ピンとくるものがあった。

 あらためて貴野課長を見る。
 冷たそうな外見の中に、女の梨華でさえドキッとするような、洗練された大人の色香があった。

(……そういうことか)

 以前、啓太に、好きな女《ひと》がいるのかと尋ねた時、妙に口を濁らせていたことを思い出す。

 美人で仕事熱心。
 数々のプレッシャーをものともせずに孤軍奮闘する女性は、うざったい反面、輝いてもいる。
 ちょっときつい感じも、見方によっては凛々しくて頼りになるプラスポイントだ。

(で、貴野さんとなにかあったわけ?)

 梨華の胸に、ムラムラした感情が湧いてきた。


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