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身代わりの夜
第2章 泥酔美人上司
「あ、この部屋よ」

 亜沙子が虚ろな眼でショルダーバッグを探る。

 差し出された鍵でドアを開けた。
 靴を脱いで上がり、短い廊下を過ぎると、広々としたリビングキッチンだった。

「悪かったわね、適当に休んでて」

 亜沙子はモスグリーンの布張りソファに倒れ込むように座った。
 バッグをテーブルに投げ出し、眼を閉じたまま苦しげな呼吸を繰り返す。

「悪いけどぉ、お水、お願いできるかなー」

「は、はい……」

 啓太がコップに水を汲んで戻ると、亜沙子はソファにもたれて寝息をたてていた。

「よわったなあ」

 コップをテーブルに置き、あらためて部屋を見まわした。
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