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身代わりの夜
第13章 出張夜の部下指導
「ここんところ仕事が忙しかっただろ。
 タマッてるんだよ。
 な、ここは俺たちの友情に免じて、黙認してくれよ。
 いつか、この借りは返すからさ」

 聞いているうちにムラムラと腹が立ってきた。
 山野辺にではない。亜沙子にだ。

「本当に貴野課長が誘ったのか」

「本当だって。
 この前の会社でのアレだって、俺だと信じこんでいるんだ。
 古森はあの時、役得味わっただろ。
 今日はオレの番ってことでさ」

 啓太は同僚の顔をじっと見つめた。
 女性にモテそうな甘いマスクだ。
 元カレの村木も、精悍な顔立ちのいい男だった。

(だけど、あの男は亜沙子さんに、あんなひどいことを)

 山野辺だってそうだ。
 さんざん亜沙子の陰口を叩いてきたではないか。

 そんな男たちに抱かれ、股間を濡らして淫蕩に悶える亜沙子の姿を思い浮かべる。
 どうしても納得いかなかった。

「だめだ」

 啓太はきっぱりと宣言した。

 「今日はぼくがお前の身代りになる」
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