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身代わりの夜
第2章 泥酔美人上司
 ストッキングのつま先に、なぜかどきりとする。

 ナイロンの薄いシェードを通して、長い足指とピンクのペディキュアを塗った爪がうかがえた。
 一日中、窮屈なハイヒールに閉じ込められていたためだろう。
 先端の補強部分が、かすかに湿って黒ずんでいる。

 それが妙に生々しい。

 オフィスでは見ることのできない個所を眼にしていることで、亜沙子の秘密に触れた気分になる。

 胸が高鳴ってきた。
 股間の陽根がふたたび硬度を増す。

(おいおい、中学生じゃないんだぞ)

 こんなことで昂奮しているなんて、自分でも情けないと思う。

 女性経験が皆無の啓太には、美麗な上司とふたりきりのプライベート空間というだけで、必要以上に緊張する。

 ベッドに運んで介護するなんて、とてもできそうにない。

 さりとて、このまま亜沙子を残して去るのも失礼にあたる気がして、どうすればいいのか、全くわからなかった。

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