この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
身代わりの夜
第16章 おわかれエクスタシー
啓太の心にまだ迷いがあることに気づいていた。
だからこそ、最後のチャンスに掛けようと、こうしてホテルに誘ったのだ。
今さらに己の本心に気づく。
(そんなあさましい未練なんて、すっぱり捨ててしまうの)
未練たらしく執着して、大切に思う青年を惑わしてはならなかった。
「亜沙子さんは、啓太の気持ちに気がついてないんでしょう」
「……たぶん」
自信なさげに口ごもる様子は、最初の夜の啓太を思い出させた。
つい先ほど、野獣となって梨華を貪っていた男とは別人のようだ。
「オフィスや出張先で、峻の身代りをしたってことも?」
「気がついてないと思います」
「全部、正直に打ち明けるの。わかった?」
青年の眼に動揺が走る。
梨華は啓太の顔を引き寄せ、頬を撫でた。
「しっかりしなさい。
わたしを振っときながら、亜沙子さんをものに出来なかったら、許さないわよ」
だからこそ、最後のチャンスに掛けようと、こうしてホテルに誘ったのだ。
今さらに己の本心に気づく。
(そんなあさましい未練なんて、すっぱり捨ててしまうの)
未練たらしく執着して、大切に思う青年を惑わしてはならなかった。
「亜沙子さんは、啓太の気持ちに気がついてないんでしょう」
「……たぶん」
自信なさげに口ごもる様子は、最初の夜の啓太を思い出させた。
つい先ほど、野獣となって梨華を貪っていた男とは別人のようだ。
「オフィスや出張先で、峻の身代りをしたってことも?」
「気がついてないと思います」
「全部、正直に打ち明けるの。わかった?」
青年の眼に動揺が走る。
梨華は啓太の顔を引き寄せ、頬を撫でた。
「しっかりしなさい。
わたしを振っときながら、亜沙子さんをものに出来なかったら、許さないわよ」