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身代わりの夜
第17章 強引純情部下

(いい歳をして……
わたしなんて、古森くんにふさわしい女じゃないのに)
オフィスや出張先での山野辺との戯れを思い出すと、羞恥で頬が染まった。
絵に描いたような欲求不満女だ。
啓太に抱かれているような気になってしたたかに昇りつめるなんて、誠実な若者を貶めるような行為である。
あの夜を最後に山野辺とは上司部下の関係に戻ったものの、どうしようもない自己嫌悪に駆られた。
そして今夜は、好きでもない中年男に抱かれるのだ。
これ以上、淫乱な三十路女にはふさわしい末路はあるまい。
「先に帰るわ。
古森くんもいいかげんに切り上げなさい」
切ない思いを振り切り、亜沙子はビジネスバッグを手に、席を立った。
「課長、行かないでください」
後ろで呼び止める声がした。
振り向くと、デスクの前で、啓太が怒ったような表情を向けてくる。
生真面目な顔が緊張で強張っていた。
「村木さんの言いなりになるんですか」
まっすぐな眼差しにハッとする。
わたしなんて、古森くんにふさわしい女じゃないのに)
オフィスや出張先での山野辺との戯れを思い出すと、羞恥で頬が染まった。
絵に描いたような欲求不満女だ。
啓太に抱かれているような気になってしたたかに昇りつめるなんて、誠実な若者を貶めるような行為である。
あの夜を最後に山野辺とは上司部下の関係に戻ったものの、どうしようもない自己嫌悪に駆られた。
そして今夜は、好きでもない中年男に抱かれるのだ。
これ以上、淫乱な三十路女にはふさわしい末路はあるまい。
「先に帰るわ。
古森くんもいいかげんに切り上げなさい」
切ない思いを振り切り、亜沙子はビジネスバッグを手に、席を立った。
「課長、行かないでください」
後ろで呼び止める声がした。
振り向くと、デスクの前で、啓太が怒ったような表情を向けてくる。
生真面目な顔が緊張で強張っていた。
「村木さんの言いなりになるんですか」
まっすぐな眼差しにハッとする。

