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身代わりの夜
第19章 最愛美人上司
「……わたし、さ、最低の女よね」

 啓太の耳に、かすれた声が届く。
 指の間から、亜沙子がうめいたのだ。

「さっき言ったことは嘘。古森くんの言う通りよ。
 わたし、ここで……山野辺くんとエッチしちゃったの」

 啓太が何か言う前に、嗚咽まじりの声を継いだ。

「仕事のご褒美とかいって、部下とエッチするような女……
 客先の歓心を買うために身体を差し出すような、ふしだらな女なの……

 あげくの果てに、知らない人に見られて……
 おしっこ洩らしながら、イッちゃうなんて……」

 ひっく、ひっく、と背筋を震わせて、またも亜沙子はすすり泣いた。

「いやだからそれは……すみません。ぼくのせいです」

「違うのっ!」

 亜沙子は啓太の言葉を遮った。
 手を降ろし、涙で赤くなった瞳を向けてくる。

「違うのよ……」

 頬に血の色が浮き、官能的な唇がふるふると震えていた。

「恥ずかしいことされて……」

 ごくりと唾を呑む音がした。

「あんなに恥ずかしいことされたのに……
 す、すごく……すごく気持ちよかったの……
 あ、あきれちゃうでしょう?」

 泣き笑いの表情を見せる。

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