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身代わりの夜
第4章 部下ふたり
(それにしても、あいつがマナベの担当をしていたなんて)

 苦々しい気持ちで、昨夜の接待を思い浮かべる。

 セクハラ部長の相手もウンザリだったが、元カレの横で私生活を話題にされる屈辱といったらなかった。

 村木に会ったのは一年ぶりだろうか。
 白い歯をのぞかせた嫌味なくらい爽やかな笑顔を見て、針を刺されたような痛みが胸に走った。
 痛みそのものより、まだ自分の心に痛みを感じる部分が残っていることに動揺した。

 いや、それよりも、その後で飲み過ぎて正体をなくしてしまったのが情けなかった。
 部下の前で仕事の愚痴をこぼすなど、亜沙子が最も嫌悪することだ。

 おまけにマンションに帰る途中からの記憶があやふやだった。
 おぼろげに覚えているのは、山野辺に送られたということだけ。
 気がつくとスーツ姿のままベッドで寝ていた。

 こんなことは、これまで一度もない。
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