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身代わりの夜
第4章 部下ふたり
(まさかとは思うけど……山野辺くんとヘンなこと、やってないわよね)

 部屋にかすかに、山野辺が時々つけているオーデコロンの残り香があった。
 下着が湿っていたのも不安がつのるばかりだ。

「それから……」

 ひと通り企画内容を確認した後、亜沙子はデスクに眼を落した。
 他の社員に聞こえないような小声で、

「昨日は悪かったわね。家まで送ってくれてありがとう。あの……」

 ちょっと言いよどんでから、早口に尋ねた。

「わたし、なにかおかしなこと、しなかった?」

 そーっと部下の顔をうかがう。
 山野辺は一瞬、眉を上げたが、すぐに、

「いえ、なにも」

 いつも通りの相手を安心させるような笑顔に、亜沙子も胸を撫で下ろす。

「そう。ならいいんだけど。
 じゃあ、頑張ってね。期待してるから」

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