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身代わりの夜
第6章 童貞ラブホテル
 梨華は最初、眼を丸くし、すぐに優しく破顔した。

「もう……そーいうことは、いちいち言わなくていいの」

「す、すいません」

「……ま、あいつみたいに二股も三股も掛ける奴よりはマシか」

 梨華はすべすべした肩を寄せて、啓太の顔をのぞき込んできた。
 前屈みになったため、胸の谷間が強調される。

「で、わたしが初めての相手でよかったのかなー」

「も、もちろんですっ」

 こんな美女で童貞を卒業できるなんて、これ以上の幸運はないだろう。
 啓太は鼻息荒く言い放つ。

 その瞬間、なぜか亜沙子の顔が頭に浮かび、胸の奥がチクリと痛んだ。
 それを押し殺すように、

「加納さんみたいな魅力的な女性が初体験の相手だなんて、夢のようです」

「そうか……忘れられない思い出、つくろうね」

 股間に伸びてくる手を振りほどき、啓太は急いで立ち上がった。

「ぼくもシャワー浴びてきます」
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