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身代わりの夜
第6章 童貞ラブホテル
 熱い湯を肩に掛けながら、啓太はそわそわと落ち着かなかった。

 さっきチラ見した梨華の白い肌が頭から離れない。
 バスタオルにくるまれた女体は、妖艶な大人の色香にあふれて、男なら誰でもよだれを垂らさずにはおれないだろう。
 もうすぐあの身体を抱けるという期待で、胸の鼓動は高まりっぱなしだ。

 それなのに――いや、だからこそ、と言うべきか、どうしても現実感がわいてこない。

 うまく行き過ぎて、なんだか夢の中にでもいるようなのだ。
 女にモテたことが一度もない童貞男に、こんな僥倖が訪れていいのだろうか。

(なんかマズイことをやって、加納さんを怒らせちゃって……
 ……結局デキなかった、ってオチじゃないかなあ)

 これまでの人生でさんざん味わってきた不運な出来事の数々が、脳裏を去来する。

 同時に不安も押し寄せる。
 間違えないで挿入できるのか。
 年上の美女をちゃんと悦ばすことができるのか。

 まったく自信がなかった。
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