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身代わりの夜
第6章 童貞ラブホテル
 唾を呑み込むゴクリという音で我に返った。
 ペニスを丸出しにして、馬鹿みたいに口を開けている自分に気づく。

 あわてて股間を隠し、梨華に背を向けた。
 手の中で、肉棒はふたたび力を取り戻しかけていた。

「あ、あの……加納さん?」

「ふふ。背中、洗ってあげようかなーって」

 笑みを含んだ声を掛けて、梨華が浴室に入ってきた。

 広々としたバスルームは、大人がふたり入っても充分に余裕があった。
 もともとそのために設計されているのだろう。
 横の白いバスタブも男女で入れる大きさだ。

 湯気でもうもうとする密閉空間に、美貌の裸女と一緒。
 なれない状況に声が上ずる。

「い、いや……あの、もう出ますから」

「ばかね。こーゆーときは遠慮しないの」

 まだ手に持っていたシャワーノズルをそっと奪われた。
 水流を止めてフックにかけると、啓太の後ろに手を伸ばして、壁際のラックからボディソープのボトルを取る。

 正面の大きな鏡を見ると、間の抜けた自分の顔の肩越しに、梨華の美しい顔が映っていた。
 手の中のピンクのスポンジでしきりに泡を立てている。
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