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女社長 飯谷菜緒子
第3章 婚約
寿子は居間側の人々から頼られると同時に畏れられているまさに女社長といった人物であり、菜緒子は内心びくびくしながら面会に赴いた。

しかし、びくびくしていることなど微塵も感じさせない凛とした顔で面会に臨んだから寿子の方がぎょっとした。まるで若い頃の自分が目の前にいるようだった。

寿子も眼光がかなり強い。
眼光が強い者同士が対峙するその様はまるで侍同士が対峙してお互いに相手の出方をうかがっているみたいである。

「聞けば飯谷工業の社長の座が欲しいとか。何故に社長などにこだわるのですか」

まずは寿子が切り出した。強い目力でまるで威圧するように菜緒子を見るが、菜緒子は真っ直ぐに視線を合わせてくる。

「飯谷工業は代々飯谷家と仲間たちで作り上げてきた会社です。だから飯谷の者が跡を継ぎたいという気持ちもないわけではありません。でも、真次さんの妻として飯谷工業を益益盛りたてて、居間側重工様のためによい事業をしていく所存にございます」

これが中学生かと思えるぐらいに威風堂々とした菜緒子の物言いに寿子はただただ感心するばかりであった。

真次は経理や経営学には優れているが気が弱く押しも弱いところがある。いっそ菜緒子が社長になった方がいいとも思えるが、飯谷工業を居間側の思うとおりにして実質的に乗っ取ってしまいたい思惑からすれば真次のように気が弱い社長の方が何かと都合がいいとも思えた。

「居間側重工のために良い事業をするというのですか?」

「はい、今までの居間側重工様の御恩に少しでも報いるように励みたいのです」

鋭い視線がぶつかり合う。

「ところで菜緒子さん、亀井戸さんと敦賀さんの事件の真相を御存知ですか?」

少しすまなそうな顔をして、しかし、したたかそうに微笑んで寿子が尋ねた。

「はい、よく存じております」

菜緒子は顔色ひとつ変えずに淡々と、この問いにはそれだけ答えた。

内心は早速この話題を出してきたかと思った。透真から聞いていたとおり目の前にいるこのババアがふたりをハメるように画策したのは間違いないと判断するに十分な顔つきを見せてくれた。

腸が煮えくり返る、いっそぶっ飛ばしてやりたい衝動にも駆られる、自分のせいだと思うと涙が出そうにもなる、が、そんなことは微塵も感じさせない程に顔色ひとつ変えずに淡々とした発言だった。


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