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女社長 飯谷菜緒子
第5章 奇妙な結婚生活
菜緒子は少し羨ましそうに志乃の体を舐め回す。
景嗣と体を重ねているであろうことは女として性長している志乃の体を見れば分かる。

真次との結婚性活がなくて寂しいのは志乃だけが女に性長しているのが羨ましかったり焦りを感じたりしているのだろうと思った。

「菜緒子、妬いてるの?ごめんね」と志乃は景嗣にも抱かれているのを申し訳なさそうにする。

「妬いてなんかいない、ふたりのことは祝福している。ただ、志乃だけがいい女になっていくんだなと思った」

菜緒子は志乃の体を見て情けなさそうに自分の体を見た。菜緒子の気持ちを悟って志乃はくすっと笑った。

「バカね、菜緒子はキレイだよ。わたしなんかよりずっとキレイ」と志乃は愛しそうに菜緒子に舌を這わせる。

「そうか?」と菜緒子は照れたように言う。

「今日の菜緒子はなんだか可愛いね。強い菜緒子も好きだけど可愛い菜緒子も好き」

志乃は激しく菜緒子を求める。ふたりは激しく絡み合う。

「可愛い菜緒子はわたしの前でだけかな?」

「そうだな。お前の前だと素直な気持ちが隠せないから不思議だ」

「嬉しい。可愛い菜緒子はわたしだけのもの」

志乃は嬉しそうに菜緒子といちゃいちゃを続けた。

志乃との情事の帰り道、菜緒子は腕を組んで歩く仲のいいカップルを目撃した。カップルは平気で路チューまでする始末なのでさすがにそれはやめてほしいと思った。

志乃との情事の帰りを誰かに見られたくはないので人通りの少ない道を選んで歩いてはいるが、いくら人通りが少ないからといって路チューはさすがに抵抗がある。

よく見ると路チューしているのは男同士のカップルだった。リアルにBLカップルなんているんだと思ったら男のひとりは真次だった。

幸い路チューやいちゃいちゃに夢中で見つかってはいないので菜緒子は咄嗟に身を隠した。

男カップルは菜緒子には全く気がつかずにいちゃいちゃしながらラブホテルの方へ歩いていった。

そうか、そういうことだったのかと菜緒子は合点がいった。婚約している時もそうだったが、結婚したというのにあまりにも距離を置きすぎると思っていた。

ただし距離を置きすぎているのは男と女、夫婦でという意味で、女社長でいる時にはかなり距離が近い。真次の自分への愛みたいなものも感じていた。

真次が愛しているのは男だったのだ。
同性しか愛せない気質なのであろう。
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