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女社長 飯谷菜緒子
第7章 唯一の夫婦性活
「結婚する前に歳上の女子と事を致したといいましたね。避妊はしたのですか?」

「何回か致しましたが避妊はしていません。結婚前に愚かなことをしました」

一度も避妊をしていないのは本当だ。あの女はカネを貰って求められれば平気で男に体を売るような商売をしていたからピルを飲んでいると言った。関係を強要される度に生でセックスをさせられたが妊娠なんてするワケがない。

寿子は真次に種がないかも知れないと疑い出した。これは真次にとってラッキーなことだった。自分に種がないとなれば赤ちゃんがデキなくても仕方がないと母親も諦めるしかなくなるだろう。

「ごめんなさい、僕に甲斐性がなくて」と深々と頭を下げて赤ちゃんがデキないことを謝った。

自分を溺愛してくれる母親を騙し、楽しみにしている孫の顔も見せられないのは辛いが、これでいい、これが誰も傷つかない最善の方法なんだろうと思った。

しかし、そうは甘くなかった。
真次を心配した寿子は自分が真次を生んだ時や、今は亡き夫が不始末で女を孕ませた時の堕胎などでお世話になって信頼している産婦人科に真次を診せることにした。

この産婦人科は今では娘の代になっているが、娘も腕のいい産婦人科医だ。

「久しぶりだね」

真次が恐る恐る産婦人科に入っていくとボーイッシュな女医が笑顔で迎えてくれた。女医は真次より3つ上の昔よく遊んでくれた一樹(いつき)だった。

男勝りなのは相変わらずだけど、こんな男勝りでも結婚してふたりも子供を儲けている。

「じゃあ、精子くんを診せてもらおうか」と一樹は真次のズボンを脱がそうとする。

「や、やめてください。自分で出してきます」と真次は慌てて脱がされるのを拒む。

「ボクならいいだろ。男みたいなのは昔と変わらないだろ」

昔のまま主語はボクで、真次が触れられたくないことをあっけらかんと言う。そして困惑する真次を見て愉快そうに笑う。

「男色なんだろ。だから本当はセックスなんてしていない。違うか?」

なんで、なんでこの人は自分のことをまるで見ているように分かるんだと真次は焦った。

「安心しな、ママには言わないし、悪いようにはしないから。あのママに知れたら大変だしな」と一樹はまた愉快そうに笑う。

「な、何で僕のことを?」
あまりに不思議なのに我慢できずに真次は直接的に訊いてみた。

「なんでって・・」
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