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女社長 飯谷菜緒子
第2章 消えた初恋
「は、はあはあ」

泣き疲れた透真はオナニーをした。菜緒子をオカズにしようとしたが、やはりそれはできずに父親のエロ本をこっそり拝借してきてオナニーをした。

する前から分かっていたことだがオナニーの後は罪悪感に苛まれる。とてつもない罪悪感だ。

営業、即ち居間側重工の御機嫌取りを担う父親は時には居間側重工の偉いさんを風俗で接待することもある。だから風俗情報も所持している。透真がエロ本と呼んでいるのは風俗情報誌のことである。

風俗なんかで接待をする父親も喜んで接待を受ける居間側重工の偉いさんも汚いが、カネのために体を売る風俗嬢も汚いと思う。

そして父親の風俗情報誌を失敬して風俗嬢をオカズにオナニーなんてする自分も同様に汚い存在だ。

「はあはあ、何をやっているのだオレは」

罪悪感にも苛まれるが射精をしてしばらくは珍棒の先っぽがピクピクしていてキモチいいのかダルいのかよく分からない。

「はあ、いや、これでいい。これで菜緒子のことは諦められる。頼むぞ翔也」

こんな汚く愚かなことをしている自分が菜緒子にふさわしいワケがない。
菜緒子には笑っていてほしいし、親友の翔也のことだって応援してあげたい。

そんな気持ちになれた自分は偉いと思うと少しは自分が好きになれる透真であった。

将来的には結婚をしようと約束した菜緒子と翔也の距離は縮まった。それははたから見ても分かるほどであり、ふたりは公認のカップルとなった。

好きな女性と親友、ふたりの恋を応援すると決めたもののやはり公認のカップルとなったふたりを見ているのはツラい。
透真は高校はどこか遠くの学校に行きたいと思うようになっていた。
だから今まで保留にしていた推薦入学の話を受けることにした。

透真は吹奏楽をやっている。元々は笛が上手で、菜緒子がその笛の音が好きだった翔也に張り合って始めたことだが、名門学校への推薦入学の話が来る程の腕前になっていた。

吹奏楽を始めたのは翔也の笛のように菜緒子に好きになってもらいたかったから、推薦入学を受けることにしたのは翔也と菜緒子がいちゃいちゃするのを見たくないから・・何を決めるにしても動機はいつも不純だと思うと笑えてくる。

両親に推薦入学の話をしたらあっさりと承諾してくれた。
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