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女社長 飯谷菜緒子
第11章 禁断
雪雄に会って、女社長となれば光莉が彼を裏切るような場面が必ず訪れると思うと辛くなった。

女社長などやめて雪雄とふたり平穏に生きていく道を選んだ方がいいのではと話したが、凛として女社長を継ぐと宣言した光莉の顔が思い浮かんだ。

頼もしいし嬉しくもあるのだが、雪雄に申し訳ない気持ちもある。すまんな、こんな母親に似た娘でと菜緒子は心の中で詫びた。

「立ち話もなんだから、時間があったらお茶でもどうだ?入ってみたいと思ったのだが、お洒落過ぎてひとりでは敷居が高くて・・付き合ってもらえたら助かる」と菜緒子は入ろうと思っていたカフェを指差した。

「お疲れ様」
「お疲れ様です」

菜緒子と雪雄はビールで乾杯をした。
お洒落なカフェに入ったというのに結局頼んだのはビールになってしまった。

「らしくないことはするものではないな。こんなことなら昼からやってる居酒屋にでもすればよかった」

「まあまあ、カフェで飲むのもお洒落で良いではないですか。ビールがお洒落な飲み物に見える」

とふたりは顔を見合わせて笑い合った。
なるほど、お洒落なカフェやジョッキの美しさもあるのだろうが、金色の中に泡があるビールが宝石のように美しく見える。

「つかぬことを尋ねるが、お父さんは翔也という名前の人ではなかったか?」

ずっと確かめたかった衝動が昼間からお酒を飲んだという勢いに押されるかのようについに菜緒子は訊きたかったことを口に出す。

「父を、父を御存知なのですか?」

雪雄の顔色が変わって菜緒子を見つめる。
雪雄の父親はやはり翔也だった。翔也が病気に倒れて看病している時にうわ言のように昔とても愛していた女性がいたと言っていたのを思い出した。

病気で苦しそうな顔が、その女性のことを思い出すに連れ穏やかな優しい顔になったのが思い出される。

そういえば菜緒子に初めて会った時から思っていたのだが、どことなく母親に雰囲気が似ている。
まさか、今目の前にいる義母が父親が愛した人なのではと直感した。

「まさか、あなたは・・」

衝撃を受けたような表情で雪雄が何を訊きたいかを悟った菜緒子は優しく頷いた。

松岡というのは亀井戸の遠い親戚か亀井戸専務が懇意にしていた人で、ひっそりと翔也を生き延びさせるために戸籍や住民票を触ることもなく養子にでも出したのだろう。

菜緒子のこの推測は概ね当たっていた。
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