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牝獣の哭く夜
第10章 砕け散る矜持
――美貴がデザインを盗んだ。
――それを色仕掛けで諏訪部長に売り込んだ。
本気でそれを信じているわけではあるまい。
すべて美貴を陥れる口実、肉体を弄ぶための名目にすぎなかった。
「それなら、片桐専務も同罪じゃありませんか」
「所詮、没案だったからね。会社からはそれほどのお咎めはない。君とは立場が違う」
口惜しいが事実だった。
美貴と片桐の言い分が食い違ったら、信用されるのは彼のほうだ。
少なくとも、片桐とつき合いの長い諏訪部長は、それを信じるだろう。
「業界で悪い噂はすぐ広がるよ。あんた、もうお仕舞いだよ」
業界で力のある東亜設計が企画を盗まれたと申告すれば、かなりの打撃をうける。
沼田の証言がそれに加われば、いやでも信憑性が増す。
美貴がこれまで築き上げてきたキャリアは失われてしまうだろう。
それが嫌なら、ここで片桐と一夜を共にしろというのだった。
美貴は口惜しさに奥歯を噛みしめた。
――それを色仕掛けで諏訪部長に売り込んだ。
本気でそれを信じているわけではあるまい。
すべて美貴を陥れる口実、肉体を弄ぶための名目にすぎなかった。
「それなら、片桐専務も同罪じゃありませんか」
「所詮、没案だったからね。会社からはそれほどのお咎めはない。君とは立場が違う」
口惜しいが事実だった。
美貴と片桐の言い分が食い違ったら、信用されるのは彼のほうだ。
少なくとも、片桐とつき合いの長い諏訪部長は、それを信じるだろう。
「業界で悪い噂はすぐ広がるよ。あんた、もうお仕舞いだよ」
業界で力のある東亜設計が企画を盗まれたと申告すれば、かなりの打撃をうける。
沼田の証言がそれに加われば、いやでも信憑性が増す。
美貴がこれまで築き上げてきたキャリアは失われてしまうだろう。
それが嫌なら、ここで片桐と一夜を共にしろというのだった。
美貴は口惜しさに奥歯を噛みしめた。