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牝獣の哭く夜
第10章 砕け散る矜持
 昨日までの美貴なら、そんなことは当たり前だと、吐き捨てただろう。

 好きでもない男に身体を慰みものにされて、感じるはずがないではないか。
 そんな賤しい女ではない自負も自信もあった。

 だが、さきほど男たちに胸や股間に触られた時――
 あっという間に官能の炎に炙られてしまった肉体を思い出し、美貴は不安になる。

 あの時、美貴の身体は男たちの玩弄のすべてを快感に変化させた。

 虫唾が走るほど厭《いま》わしかった。
 にもかかわらず、指の蠢動が肌を這うと、微電流を流されたような感覚が背筋を駆け上がった。
 やるせない快感に、股間に熱い液をしたたらせてしまった。

 自分の肉体が理解できない。

 歯噛みしたいほど口惜しく、みじめだった。

 そのみじめな肉の崩壊がまた起こるのではないか。
 美貴の胸は最悪の予感に震える。

(お願い……最後のプライドくらい、わたしに残しておいて)

 成熟した裸身をベッドの上に仰臥させて、美しい才女は心の中で祈った。

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