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牝獣の哭く夜
第10章 砕け散る矜持
「そろそろ二人ともイキそうだな」
ホテルの隣の部屋。
沼田峻一は血走らせた眼でテレビ画面を凝視していた。
画面の中では片桐の貧相な腰がガクンガクンと動き、それに合わせて美人上司の官能的な尻が淫らに振られている。
(美貴さん……片桐なんかに犯されて、こんなにヨガるなんて)
沼田の心は嫉妬と幻滅に押しつぶされそうだ。
片桐の卑劣な提案を美貴が受け入れた時もショックだった。
あの勝気で負けず嫌いな才媛なら、こんな姦計など一蹴すると思っていたのだ。
最大の衝撃は、片桐は受け入れたのに、自分は受け入れられなかったことだ。
(そんなに俺が嫌なのかよ)
イカスミのような、真っ黒な憎悪が沸き起こる。
こうして片桐との情交を隠し撮りされているとは、思ってもいないだろう。
カメラは二台あったのだ。
頭が良さそうでも、肝心なところで詰めが甘い。
「昼間の鼻っ柱の強そうな女とのギャップがソソられるな」
沼田は恨みのこもった眼で画面の中の蠱惑的な裸身をにらんだ。
股間に手を伸ばす。
暴発寸前で拒否されたためか、先っぽが悔し涙に濡れていた。
(でも、片桐専務とは了解済みだ。最後は俺が――)
「お前のペニスを沢村課長に突っ込んでやれ」
確認するように頷くと、ゆらりと立ち上がった。