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牝獣の哭く夜
第11章 夜景レストラン
「あなたの審美眼にかなったかな、と思って」

「とても素晴らしいですわ。
 お店の雰囲気も――もちろん、料理も」

(……そして、あなたも)

 心の中でそっと囁いた。

 諏訪にじっと見つめられると、頬が赧らむのを感じる。
 ワインのせいだけではなかった。

 青山のビルの最上階にあるイタリア料理店。

 夕方から始まった美容エステサロン計画の詳細打合せの後、ソレムニティ・グループの企画部長からディナーの誘いがあったのだ。

 美貴は最初辞退した。
 先日のこともあって、諏訪とのプライベートなつき合いはなるべく避けたかった。

 しかし、相手の強い要望もあり、すでに予約を入れていると言われては、断ればさすがに失礼にあたる。
 やむなく、つき合うことになった。

 来てみれば、レストランは尻込みするほど高級な店だった。

 都心の夜景を眺めつつ、旬の素材を使った本格イタリア料理を堪能していると、片桐と沼田に身体を弄ばれたことが淫らな夢の中の出来事だったような気がしてくる。

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